‘ここがOpen!’のアーカイブ

美術館にアートを贈る会

2008年9月4日

「美術館にアートを贈る会」の言い出しっぺ 八木光惠さん

大阪の「美術館にアートを贈る会」という活動の発起人八木光惠さんが現代美術館を訪ねてくださりました。あいにく私がすぐに外出しなければならなかったために、立ち話しかできませんでしたが、八木さんの活動を聞いていた私としては10年来の友人に再会したような気持ちを(勝手に)抱いてしまいました。

この「美術館にアートを贈る会」は2004年10月に発足されていますから、Open Museum Projectの先輩にあたります。アメリカでアート・マネージメントを勉強された八木さんは日本に合ったドネーションの方法として、このプロジェクトを思いつかれたそうです。この点はまったくOpen Museum Projectでも同じなのですが、実際には税控除などのシステムがないので個人献金がやりにくいのが日本の現状です。

すでに第一回の成果として、藤本由起夫さんの作品が西宮市大谷記念美術館に寄贈されています。八木さんは地道に会った人には、「5000円ください」と言っていますと笑っておられましたが、何件かの大口の寄付もいただいたそうです。

美術館にアートを贈る会が、次に提案しているのは栗田宏一さんの作品を和歌山県立美術館に贈るというもの。とても美しく、驚かされる作品を作り、国際的にも評価される栗田さん。不思議な縁もあって、個人的にも応援しています。(関)

http://www.art-okuru.org/index.html

foro 08

2008年6月17日

主宰の西森陸雄さんと松下計さん

建築家は勉強熱心です。奇妙なことですが、展覧会やイベントをやって積極的な意見を言ってくれる方には建築家が必ず一人は含まれているという印象を持っています。話してみると「なるほど」と思わされるのは、それぞれ明確なキーワードを持っていることで、きっと建築家とはずっとそういうことを考え続けるそういう存在なのでしょう。

白金台にforo08(イタリア語でフォロ・ゼロットと読む)というギャラリーを開いている西森陸雄さんもやはり建築家です。西森さんのキーワードは「生活デザイン」。生活に喜びを与える/感じるものをリスペクトしている点はおおいに共感します。このギャラリーのユニークなところは、コミッティーによる運営をされているところで、今村創平さん、松下計さん、皆川明さん、橋本夕紀夫さん、そして紅一点の生駒尚美さんと活躍中の方々ばかりですが、建築だけでなく、デザインやファッションなど幅広い分野の方が集まっているのは西森さんの思想のあらわれています。Openですね。

今回は伊藤豊雄さんや青木淳さんが信頼を置く照明デザイナーの岡安泉さんの講演。当然、会場は建築関係の方々が多そうで、かなりまじめな雰囲気に気後れしましたが、作例のイメージを交えた話はとても興味深く、新鮮な驚きがありました。この岡安さん農獣医学を学んだ後、生物系特定産業技術研究推進機構というところでお仕事されていたという変わった経歴の持ち主。仕事を変えたくて、照明の道に入られたとおっしゃっていましたが、誰にでもできることではありませんね。昨年のMOTのSpace for your future展も観てくださったようで、nendoさんのミラノ・サローネの照明も手伝ったんですよと話してくださいました。これは観たかった!

Open Museum Projectの参考にと、ずうずうしく参加させていただきましたが、期待以上に収穫の多いものとなりました。トークの後にドリンクと軽食をご用意くださったのですが、アーキチョークの入ったサラダなど、かなりこだわりのある選択でした。お店をおしえてもらえばよかったかな。(関)

必見。高橋コレクション

2008年6月6日

神楽坂 赤城神社近くの墓地

今度、Open Museum Projectで勉強会の講師をしてくださる山口裕美さんが展覧会を企画されたと言うので、神楽坂の高橋コレクションに行ってきました。作家は山口さんの最新刊『The Power of Japanese Contemporary Art』(アスキー出版)でも紹介されている濱口健。ポストカードにはなぜかセーラー服姿の金髪少女が緊縛されているのですが、ギャラリーで展示されるのはさらに過激。ついつい見入っていると、はたと並んでいる作品のおそろしい精緻さに気がつきます。眼球のハイライトや陰影まで、面相筆のようなきわめて細い筆で描かれています。

 山口さんの話ではこのシリーズで300点も描いているというから驚きです。

 さらにあぜんとさせるのは作品のひとつひとつが、ピンクや黄色、緑、ブルーなどいくつかのトーンで統一されていることです。一歩、画面から離れると3段がけになっている壁面は見事なモザイク模様となります。展示のために一気呵成に描いたものならばまだしも、一点一点がこのように濃密に描かれたものを、このように色調をコントロールするというのは誰にでもできる仕事ではありません。

 そして、画面から離れると急に不安な気持ちにさせるのは、描かれた女性の視線が集まるからで、画面の中で眼球だけは色を混ぜていません。...見事。

 行ったのは雨の土曜日でしたが、帰り道、高橋コレクションのたてものの近くに赤い靴と握りつぶされたマルボロ・メンソールの箱がきれいに置かれていたけど、あれは誰かの作品だったのでしょうか。

 高橋コレクションは精神科医で美術コレクターの高橋龍太郎さんのコレクションを紹介するギャラリー。私たちOpen Museum Projectの活動を一人でやられているような方です。お会いしたことはないのですが、一度お話を伺ってみたいですね。そのときはここがOpen!で必ずご報告します。濱口健展は7月26日まで。

 なお、有楽町の国際フォーラム内エキジビション・スペースで漆の村田佳彦さんの展覧会をやっています。濱口さんとは方向性は全く違いますが、作品に入れ込む集中力は共通するところがあります。不肖、私がカタログに書かせていただいておりますので、銀座界隈を歩かれる方は、有楽町まで脚を運んでください。村田佳彦「いきもののかんざし」展は6月29日まで。(関)

MOTトーク・ボランティア

2008年5月25日

一瞬で白く覆われたニンフェンブルク城

昨日は昨秋の展覧会で出品していただいた足立喜一朗さんの展覧会が始まったので、hiromiyoshiiへ。会場となっているFARMは6階のギャラリーとは別の2階にあります。独特のテイストを持っている方なので、このまま突っ走っていってほしいと期待します。

その後にMOT(東京都現代美術館)のトーク・ボランティアの方々の会へ顔を出してきました。トーク・ボランティアとは、MOTの常設展示室の解説をしていただいているボランティア・スタッフで、展示替え後の準備期間を除けば毎日(!)午後2時から。頭が下がります。

確か、2006年の日経新聞で美術館評価のアンケートでMOTが高評価を受けたとき、「私たち」の美術館が評価されたと喜んでくれました。もしかすると一番美術館を楽しまれている方々なのではとときどき思います。美術館が場を作れば、多くの人が楽しむ方法を見つけていく。ここがOpen!

昨日はカメラを持っていなかったので、今年、2月にミュンヘンでの写真をアップします。町中のギャラリーが開く前にそういえば行ったことのなかったとニンフェンブルク城に行ったものの、トラムから降りると突然の雹が猛烈に降り始めて、ものの数分であたりは真っ白になりました。雹はとにかく痛くて、風で前にも進めず、雷も落ちてきたので、とりあえず城に入ってしまえばとも頑張りましたが、結局目の前に見えていながらも、退散。ミュンヘン在住のコンテンポラリー・ジュエリーのアーティスト石川まりさんも、「長年住んでいますが、あんな天気は初めてでした。」とおっしゃっていましたが、久しぶりに自然の力を実感しました。(関)

 

ここがOpen!

2008年5月9日

雑草no.1

東京都現代美術館で学芸員をしている関昭郎です。

ここ10年ほどで美術館はずいぶんといろんなことを試みています。これはどうかなと首をかしげることもときどきありますが、意外と知られていない最近の美術館。こんなところが変わってきていると気がついたところを「ここがOpen!」としてレポートしたいと思います。

 写真は内容と関係なく、似てるかなと思って撮った雑草。気をつけてみると、小さな植物たちが芽を出す季節ですね。あたらしい視点を与えてくれた須田さんに感謝。