必見。高橋コレクション
今度、Open Museum Projectで勉強会の講師をしてくださる山口裕美さんが展覧会を企画されたと言うので、神楽坂の高橋コレクションに行ってきました。作家は山口さんの最新刊『The Power of Japanese Contemporary Art』(アスキー出版)でも紹介されている濱口健。ポストカードにはなぜかセーラー服姿の金髪少女が緊縛されているのですが、ギャラリーで展示されるのはさらに過激。ついつい見入っていると、はたと並んでいる作品のおそろしい精緻さに気がつきます。眼球のハイライトや陰影まで、面相筆のようなきわめて細い筆で描かれています。
山口さんの話ではこのシリーズで300点も描いているというから驚きです。
さらにあぜんとさせるのは作品のひとつひとつが、ピンクや黄色、緑、ブルーなどいくつかのトーンで統一されていることです。一歩、画面から離れると3段がけになっている壁面は見事なモザイク模様となります。展示のために一気呵成に描いたものならばまだしも、一点一点がこのように濃密に描かれたものを、このように色調をコントロールするというのは誰にでもできる仕事ではありません。
そして、画面から離れると急に不安な気持ちにさせるのは、描かれた女性の視線が集まるからで、画面の中で眼球だけは色を混ぜていません。...見事。
行ったのは雨の土曜日でしたが、帰り道、高橋コレクションのたてものの近くに赤い靴と握りつぶされたマルボロ・メンソールの箱がきれいに置かれていたけど、あれは誰かの作品だったのでしょうか。
高橋コレクションは精神科医で美術コレクターの高橋龍太郎さんのコレクションを紹介するギャラリー。私たちOpen Museum Projectの活動を一人でやられているような方です。お会いしたことはないのですが、一度お話を伺ってみたいですね。そのときはここがOpen!で必ずご報告します。濱口健展は7月26日まで。
なお、有楽町の国際フォーラム内エキジビション・スペースで漆の村田佳彦さんの展覧会をやっています。濱口さんとは方向性は全く違いますが、作品に入れ込む集中力は共通するところがあります。不肖、私がカタログに書かせていただいておりますので、銀座界隈を歩かれる方は、有楽町まで脚を運んでください。村田佳彦「いきもののかんざし」展は6月29日まで。(関)

2008年7月3日 10:23 pm
山口裕美様の紹介でこちらのブログに寄らせて頂きましたmagiと申します。ネット上で見で見る限り、
濱口健氏の作品のよさがまったく理解できなかったのですが、関様の文章で「なるほど、やはり美術館
で見ると違うんだな」と納得できました。精緻な観察力に基づく適格な批評文ありがとうございました。